『Wake Up, Girls!』リーダー、青山吉能という存在

2018年6月15日、「声優ユニット『Wake Up,Girls!』は2019年3月をもって解散する」という旨の発表があった。

 

Wake Up, Girls!のファン、ワグナーは勿論のこと、以前現場に通っていたという元ワグナーや、名前だけは知っているものの結局ライブに行かずにきてしまったという他コンテンツのオタク、更には作曲者や作詞家、アニメや舞台の共演者など、その発表に対して、多くの人がコメントを残した。

 

この解散の発表に至るまでには、多くの過程があったことだろう。

その内容を推測したり、あるいは邪推したりすることはしない。一人のオタクである自分は、7人の口から出た「ゴールまでついて来てほしい」という言葉を信じて、解散を迎えるその日まで7人での活動を応援していきたい。

 

しかしながら、どうしても消化、昇華しきれない思いがある。

 

大学を卒業して、伸び伸びと活動できるようになった“Wake Up, Girls!リーダー”の青山吉能さんの姿を見届けたかった。

 

数多のオーディションを受け、評価されながらも夢には届かず、漸く掴み取った『Wake Up, Girls!』という居場所。その居場所も決して温かいだけの場所ではなく、研鑽を重ねる日々、地元である熊本と活動の中心となる東京や仙台の往復、学業と仕事の両立など途方もない苦難があったことだろう。2015年春には、大学へ通うという約束の下で上京し、今日まで大学と声優業を両立しながら歩んで来た。

これらの情報はワグナーや彼女のファンであれば周知の事実であろう。

 

上記のように、“伸び伸びと”、“約束の下で”などという言葉で修飾してしまうと、あたかも大学が彼女の、声優という職にとって邪魔であるように聞こえてしまうかもしれないが、誤解を招かないよう付け加えると、私はそうは思っていない。

声優という職、演じることについて何も知らない素人目ながらも、彼女が大学生として生きた日々は、これまでの、この先のどこかできっと彼女の厚みとして顕れることだろう。

 

だからこそ、大学という枷の外れた彼女の、“WUGのリーダー”として活動する姿を、この目で見たかった。

声優という仕事を中心とした日々がやっとハジマル、そんな希望とやる気に満ちた彼女の笑顔を、この目に焼き付けたかった。

 

これまでスケジュールの都合で断念していたようなイベントに出演することもあっただろう。より多くのレッスン、オーディションを受け、世に知られる機会が増えることもあっただろう。

 

勿論これらは、WUGの解散を経たこの先の未来でもきっと実現し得るものだ。

大学を卒業して、声優としての益々のキャリアを重ねていく姿を、彼女は私たちに見せてくれるに違いない。

 

そう分かってはいても、“WUGのリーダー”、“Wake Up, Girls!のメンバー”という形容に、“元”という文字が加わるだけのことだ、と割り切るには、やはり時間がかかりそうだ。

 

私がWake Up, Girls!を見つけられたのは、2013年から2014年にかけてニコニコ生放送で配信されていた『ワグっていいとも!』がきっかけだ。こう言い切ってしまうと、今でこそ比較的昔からのワグナーであるように思えるが、お披露目イベントを知らず、ショーケースイベントに足を運ぶこともなかった私がWUGを好きになれたのは間違いなく、ディスプレイの中で奔放に動き回っていた青山吉能さんのおかげだろう。

 

彼女がいなければ、Wake Up, Girls!というユニットを好きになることも、そのメンバーである7人の声優のことを好きになることも、なかったのかもしれない。

 

高木美佑のアイドル性に、山下七海の可憐さに、田中美海の多様さに、吉岡茉祐のカリスマ性に、永野愛理の巧みさに、奥野香耶の奥深さに、そして何より青山吉能の直向きさに、気づくことなく過ぎてしまっていたのかもしれない。

 

事ある毎に感極まって涙する彼女に、ワグナーが楽しめるようにと新しいことを取り入れようと錯誤する彼女に、毎週木曜日 一人ひとりに呼びかけるようなブログを書く彼女に、『自分を超えたい』『自分に負けない』と力強く歌う彼女に、「私たちについて来て」と思いを込めた言葉を発する彼女に、そんな弱くて強い彼女の姿に、私はいつも救われてきた。

 

彼女のおかげで、Wake Up, Girls!を見つけられた。Wake Up, Girls!のおかげで、彼女のことを知れた。

もしWUGでなかったとしても、彼女は声優として生きることを諦めず、私たちの前に姿を現していたかもしれない。しかしながら、WUGの一員であったこと、七瀬佳乃であったこと、リーダーであったことは、彼女の声優人生の中できっと大きな意味を成していることだろう。これから先、それらを支えとすることがあるのだろうし、そうあってほしいとも思う。

 

解散を迎えた後も、私はきっと青山吉能さんを応援し続けるのだろう。

他の6人に関しても、恐らくは活動を気にしてしまうだろうし、可能な限り応援していきたいとも思う。

叶わなかった思いは、暫く胸の中で疼くことがあるかもしれないが、彼女たちのこれからの活躍に対する思いや願いで上書きしていくことになるだろう。

 

「言葉にしないと、思いは相手に伝わらない」

 

誰の言葉だったか、彼女と出会ってから今日までの間に耳にした言葉が、引っかかっていた。

だからこそ私は、今の自分の割り切れない思いを言葉にした。これから先、抱えている思いを割り切ってしまったり、まるっと考え方が変わってしまったりすることもあるかもしれない、など考えながら。

ここまで読んでくれた貴方にも、もし思っていることがあれば言葉にしてみてほしい。

大きな発表の後、本人たちはきっとワグナーの反応を気にしているだろう。

背中を押すようなコメントなら尚良いだろうけれど…。思いは人それぞれだろう。

ブログでも、Twitterでも、手紙でも、何でも良い。思いを言葉にする、きっと大事なこと。

 

 

 

『初めて手紙を書きます』

 

そんなフレーズで始まる曲と、それに寄り添う曲たちに助けられながら、てがみを書こうと思う。

これまでの感謝と、この先への希望を込めて。

 

『贈りたいのは 願いごとひとつ』

 

 

『しあわせでいてくれますように』